夏山や冬に遭難した時の知恵袋
私が生まれる前の父親の経験からの話です。
父は友人と冬山にウサギ猟に出かけた時の事です。
ウサギは不思議な事に追いかけると必ず同じところに一度は戻るそうです。
その習性を知っていた父と友人は二人で雪山に出かけたそうです。
一人がウサギをスキーを履いて追いかけ一人が待ち受けて散弾銃で狩るそうです。
いつものようにウサギ狩りに出かけたそうですが昼から天気が荒れ出しました。
時間とともに猛吹雪になり視界が0メートル(ホワイトアウト)に成る事もあり身動きが出来なくなりました。
そこで父と友人は、危険と判断して雪穴を掘りその中で一夜を過ごす事にしました。
ここからが昔の人の知恵は凄いと思いました。
よく言われるのが雪洞を掘ってその中で一夜を過ごすと言う物ですが、それだけならここには書きません。
雪洞を掘るのは同じですがその下の土まで掘りだすのです。
意外と知らないのが雪の下の土は凍る事はありません。
雪が無ければ土は凍ります雪が断熱材の代わりをして、地下の熱を外に逃がさないからです。
そこで雪の下の土は凍っていないので、簡単に掘れるそうです。
周りには小さな林が沢山なるので木の枝を集めて、その土の上で、焚き火をして暖を取ります。
焚き火は2ヶ所で燃やし、まだ燃えている最中に土を掛けて消してしまいます。
この方法が凄いのです。
普通なら最後まで燃え尽きるまで燃やすか朝まで小枝を集めて燃やし続ける方法ですが、燃えている途中で土をかぶせて火を消してしまうのです。
一見何やっているのと?と言いたくなりますが、実は火は消えても土の中で木は燃え続けています。
その消した焚き火の上で寝て一夜を過ごしたそうです。
土の中では燃え残った木がゆっくりと燃え続けて寒い思いはしなかったそうです。
次の朝まで土は温かく、体力を奪われる事は無かったと言ってました。
ただ、父と知人は町内では死んだと思われていて、大騒ぎに成って捜索隊を編成して探しに出るところだったそうです。
無事に帰って来た時には、心配を掛けたと家族や親戚に怒られたそうです。
父がまだ19歳の頃の話なので、この時遭難していたら、私はこの世には居なかったと思います。
雪穴までは誰でも気がつくと思いますが、土の中に火を入れて暖を取り続ける方法は凄いと思いました。
父の話では、ポカポカして雪洞の中でもゆっくり寝れるそうです。
昔の人の知恵は素晴らしいですね。
雪洞が掘れなくても焚き火をした後の上で寝るのは夏山で寒い時には有効だと思います。
ただ低温やけどには注意が必要ですが。
雪国や山登りで遭難しない人には関係ない話ですが知恵袋として。